Insiktレポート
北米、欧州、オセアニアのアジア系コミュニティに対する脅威
投稿: 2021年6月2日
作成者 : Insikt Group
編集者注 : 以下の投稿はレポート全文の抜粋です。分析全文を読むには、ここをクリックしてレポートをPDF形式でダウンロードしてください。
アジア系米国人および太平洋諸島民(AAPI)ヘリテージ月間にちなみ、Insikt Groupは、影響力作戦キャンペーン、物理的脅威、アジア系コミュニティに向けられたサイバー脅威など、北米、欧州、オセアニアに住むアジア人に向けられた脅威について調査しました。この調査は、アジア系コミュニティに対する意識を高め、新型コロナウイルス感染症のパンデミック開始以来アジア人が直面している人種差別の増大を調査することを目的としています。
Executive Summary
北米、欧州、オセアニアのアジア系コミュニティは、現在進行中のコロナ禍の影響を大きく受けており、2020年1月以降、アジア系の個人やアジア系企業に対する差別や暴力の報告が増加しています。反アジア的なストーリー、人種差別発言や外国人排斥が著名人や主流メディアの間で2019年12月から見られるようになり、こうした反アジア感情は2021年の最初の数か月を通して増加しています。こうした言説は、マイノリティグループ間の分裂を悪化させたり、反西側諸国の言説を促進したりするために、外国メディアによっても増幅されています(中国メディアの報道で確認)。詐欺師などのサイバー犯罪者もこの機会を利用して、社会的な資金調達キャンペーンなどの取り組みを支援しようとする利他的な個人を騙し、アジアの企業に対する公的支援を悪用しています。
主な判断
- 新型コロナウイルス感染症の流行がアジア出身者に対する暴力、ヘイトスピーチ、ハラスメント増加の主な原動力になっていると思われますが、国家安全保障に関するナラティブもまた、特に米国(US)、英国(UK)、オーストラリアに住む中国系住民に対する疑念を生んでいます。こうした要因が重なり、北米、欧州、オセアニアのAAPIコミュニティが孤立しています。
- 2019年から2021年にかけて、主要メディアで中国のスパイ戦術に関する報道が増えたことから、こうした脅威が過度に一般化され、誤解や疑念を生むこととなりました。
- ロシアは、国営メディアや秘密工作を使い、欧米諸国でのアジア人への暴力や憎悪の増加は組織的な人種差別の産物であり、他のマイノリティが分断の種をまくために広めたものだというシナリオを、主流メディアやソーシャルメディアで増幅させてきました。
- 中国もまた、自国における人権問題に対する批判をかわす手段として、国営メディアを利用して、特に米国における反アジア的な態度、感情、暴力を増幅させました。アジア系コミュニティは、Insikt Groupが調査した他のマイノリティグループよりはサイバー関連の脅威に直面していませんでした。しかし、同コミュニティでは、特に地下フォーラムでデジタル虐待やオンラインハラスメントが著しく増加しました。デジタル虐待やオンラインハラスメントは疎外されたコミュニティを二極化し、アジア系出身者に対する物理的な攻撃を扇動することを目的としたナラティブに関連していることがよくありました。
- アジア系コミュニティを狙った詐欺には、主に、大きく報道された事件で身体的暴行を受け、治療を必要とする個人を支援することを目的とした慈善寄付が含まれていました。
編集者注 : この投稿はレポート全文の抜粋です。分析全文を読むには、ここをクリックしてレポートをPDF形式でダウンロードしてください。
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